中学受験は通信教育で合格できるか?通信教育のメリット・デメリットをわかりやすく解説 中学受験は通信教育で合格できるか?通信教育のメリット・デメリットをわかりやすく解説 | ジュケサポ

中学受験は通信教育で合格できるか?通信教育のメリット・デメリットをわかりやすく解説

最終更新日 2024年08月24日 投稿日 2024年08月24日

中学受験の受験勉強は、3年生の2月から約3年間勉強するカリキュラムが一般的です。3年生になる頃にはそろそろ「どこの塾に通わせようか?」と家庭内で比較検討をすることになります。

中学受験の塾といえば、実際に校舎に通い授業を受ける「通塾」をイメージすることが多いです。実際、中学受験生のほとんどは、数ある中学受験塾の中から1つの塾を選び通塾しています。

しかし、「通塾」ではないもう1つの受験勉強に「通信教育」というスタイルがあります。通信教育自体の説明は不要かと思いますが、定期的に教材が自宅に届き、自宅で学習するスタイルです。中学受験ではほとんどの受験生が通塾していますが、通信教育で合格を勝ち取る受験生もいます。

通塾には通塾の良さがある一方で、通信教育にも通信教育の良さがあります。中学受験は親子の受験。塾通いの選択は、家庭の事情にも大きく影響します。この記事では、中学受験を通信教育で勉強するとした場合について、お伝えします。

中学受験を通信教育で勉強するのはどうなのだろう?

中学受験は通信教育で合格できるものか?中学受験といえば、実際の進学塾の校舎に通う「通塾」が一般的です。「通信教育での中学受験は難しいのではないか?」そう考える家庭も多いと思います。

では実際に通信教育の会社や合格実績を見てみましょう。中学受験の通信教育のサービスを提供している会社はいくつもあります。中学受験の通信教育で最も有名な塾は「四谷大塚」ではないでしょうか。

中学受験をする上で、四谷大塚の名前を聞いたことがないという人は、ほぼいないでしょう。四谷大塚といえばSAPIXや日能研と同じいわゆる通塾のスタイルでも大手の塾です。四谷大塚は日本最大規模の模試(定期テスト)を開催していたり、「予習シリーズ」という教材を出版している会社でもあります。

予習シリーズは早稲田アカデミーや臨海セミナーといった他の大手進学塾でも使用しているため、非常に多くの受験生が四谷大塚の模試や教材を利用していることになります。その四谷大塚では、通塾スタイルに加えて通信教育のコースも提供しています。「予習シリーズ」を使い、実際の校舎で受ける内容と同じ勉強が自宅でできると考えると、通信教育でも十分合格が可能と考えられます。

また、通信教育大手のZ会では実際の合格実績を掲載しています。開成・麻布・武蔵・桜蔭・女子学院など御三家と呼ばれる有名進学校含め、多くの学校への合格実績を掲載しています。

進研ゼミでお馴染みのベネッセでも中学受験コースの提供をしています。ベネッセのホームページでは4000人以上の合格者とその内訳の実際の学校ごとの人数が掲載されているため、具体的な学校を知りたい方には参考になるでしょう。

上記のことから、通信教育で中学受験は合格できるのか?という問いに対しては、十分合格可能だといえます。通信教育でも十分合格可能だという話になると、もっと通信教育の割合が高くてもよいのではないかと思います。

しかし、中学受験では通塾するスタイルが一般的です。通信教育にはいい面もたくさんありますが、反対にネガティブな面もいくつかあります。通信教育のメリット、デメリットを考えてみたいと思います。

中学受験勉強を通信教育で行うメリット

何と言っても費用が格安!

中学受験の受験勉強を通信教育で行う最大のメリットは、何と言っても費用が安いことだと言えます。

通塾スタイルの進学塾では大体毎月5万程度の月謝がかかります。そこに定期テスト代や夏休み期間中などの季節講習、オプションの追加授業。通塾する場合、4年生から6年生までで中学受験にかかる費用は300万〜400万円程度かかると言われています。さらに個別指導や家庭教師などをつける家庭は、これに加えて青天井でコストが増えていきます。

一方で通信教育のコストはどれぐらいでしょうか。上記で挙げた通信教育3社の料金を簡単にまとめてみました。

事業者 4年生(月額) 5年生(月額) 6年生(月額) 四谷大塚 12,980円 15,180円 16,280円 Z会 16,320円 23,200円 24,000円 進研ゼミ 7,480円 7,480円 7,480円 中学受験コース:通信教育3社の月額料金 表を見てわかる通り、どの会社も月額で1〜2万程度の費用となっています。

進研ゼミは月額数千円という破格の費用です。3社の中で1番高いZ会の6年生でも3万円未満です。通塾の場合の費用と比べると、3分の1以下の費用感ではないでしょうか。

実際にはここに追加のオプション授業などをつけられるコースもありますが、その単価自体も決して高くはないでしょう。通信教育の場合、4年生から6年生まででトータル100万円あれば十分だと考えると、通塾の場合と比べてかなりリーズナブルな金額で中学受験に臨めます。逆に「安すぎないか?」と不安になるぐらいです。

それでも、実際に合格者を輩出している実績があるため、合格を勝ち取る仕組みがあることは間違いありません。なるべく受験勉強に費用をかけたくないが、独学は難しいという家庭にはマッチする仕組みといえます。

授業を繰り返し何度も見ることができる

実際の校舎で授業を受ける対面式のスタイルでは、授業の説明はその瞬間一度で終わりになります。しかし、通信教育での受講はあらかじめ録画されている講義をPCやタブレットで視聴して学習します。録画なので一度視聴してわからない部分があれば、わかるまで繰り返し視聴できるという点は通信教育のメリットの1つでしょう。

また、通塾では各校舎、各教科の先生の質という点でばらつきがあるものです。通信教育では、多くの受験生が視聴する1本の録画を配信しています。誰が視聴しても理解しやすいよう、入念に考えられたシナリオで構成されているものになります。

習い事や家庭の都合に合わせて柔軟に授業を受けることができる。通信教育は予め録画された講義を自宅のPCやタブレット視聴する学習スタイルになります。学習を計画的に進めされるよう、授業スケジュールは概ね決まっていますが、具体的なタイミングは自身の都合で決めることができます。

この日は別の習い事があるから、夜にしよう。今週の水曜日は家族の用事があるから明日にしよう。通塾のスタイルでは毎週の授業の曜日と時間が固定で決まっているため、塾の予定に家庭の予定を合わせることになります。

しかし、通信教育ではあらかじめ決められたスケジュールの幅の中で自由に受講する時間を決めることができます。ですので、通信教育では家庭の予定に塾の予定をある程度合わせることができます。他の習い事や家の事情などで、毎週固定された通塾スタイルでは通うことが難しい家庭には通信教育がマッチするでしょう。

近くに校舎がなくても受講することができる

通信教育は予め録画された講義をPCやタブレットで自宅で視聴するスタイルです。通塾を考えた時に検討するのが、進学塾の校舎の場所ではないでしょうか。いくら気に行った塾があっても、その校舎が自宅から地理的に遠い場所にあった場合、通塾は難しいでしょう。

その点、通信教育であれば日本全国どこにいても同じ授業、学習を進めることができます。例えば、四谷大塚の予習シリーズは中学受験生にとっては、通塾する進学塾でも多く利用している教材になります。

予習シリーズを使った学習がしたいが、予習シリーズを扱っている進学塾の校舎が自宅のそばにないなど、気に入った通信教育の教材があれば、通信教育がマッチするでしょう。

塾の校舎への送り迎えが不要

通信教育で受験勉強する場合、勉強する場所は当然自宅になります。インターネットに接続できれば、たまには気分転換にカフェなど自宅以外での受講も可能ですが、やはり学習の拠点としては自宅でしょう。

実際の校舎に行って授業を受ける通塾スタイルとは大きく違うのは、塾への送り迎えが不要な点です。中学受験をするのは小学生。本格的な受験勉強が始まる4年生の頃などは特にまだまだ子供。6年生になるにつれ、塾を出る時間が21時を過ぎることも普通に多くなるでしょう。通塾する場合には、塾への子供送り迎えは必須と考えられます。

一方で、通信教育の場合には、学習場所が自宅のため、塾への送り迎えということ自体がありません。その点は親の負担をかなり軽減できるものでしょう。

仕事帰りに迎えにいくことが難しいなど、塾への送り迎えが難しい家庭には通信教育がマッチするでしょう。

お弁当作りが不要

親の負担という点でもう1点、通信教育の場合不要になることがあります。それは塾に行く際のお弁当作りです。学年が上がるにつれ、塾にいる時間が長くなり塾が終わるのが21時を過ぎることもあります。そのため、授業の合間に食べる、お弁当を持参することが多いです。

通塾頻度と時間割によりますが、毎日通塾する進学塾であった場合、自宅のご飯とは別に毎日お弁当を作る必要があります。通信教育ではお弁当作りは必要ないでしょう。自宅で顔を合わせて食事をとることができるという点も、通信教育であることの良さの1つと言えます。

中学受験勉強を通信教育で行うデメリット

スケジュール管理が最重要かつ最難関

通信教育で最も難しいのはスケジュール管理でしょう。スケジュール自体は通信教育の講座自体に決められていますので、そのスケジュール通りに学習を進めていくことになります。大変なのはスケジュール通りに学習を進める点です。

中学受験は4年生から6年生までの3年間勉強するカリキュラムが一般的になります。通信教育も同様に3年間自宅で継続して勉強することが必要になります。通塾の場合には、毎週の宿題のチェックや不明点の確認などは進学塾側で確認やフォローをしてくれますが、通信教育の場合は同じようにはいきません。ましてや受験生は小学生。まだ自分で計画を立てて勉強できる年齢はありませんので、周りの大人がフォローする必要があります。そのため、通信教育では予定通り学習が進められているかどうかの管理は、親が確認していく必要があります。

自宅で集中することが難しい

通信教育で学習する場所は自宅です。小学生が自宅で集中して勉強することができる環境がない場合には通信教育の勉強も思ったように進まない可能性があります。通信教育は、自宅で都合の良いタイミングで学習ができる一方、自宅にはいろいろな誘惑があります。リビングに行けばテレビ、部屋にはゲーム・漫画など、勉強の妨げになる要素は盛り沢山。さらに勉強に集中できる一人部屋がない場合には、周りの家族が生活している中で勉強をすることになります。

大人でさえ自宅ではなく、カフェや図書館で勉強している人は大勢います。それは自宅よりも外の方が集中できるから。大人でも集中しずらい自宅で、小学生が集中して勉強するには、本人のやる気と強い意思が必要でしょう。

わからない部分の理解が難しい

通信教育では録画された講義を視聴することが基本的な学習スタイルです。当然、講義を聞いてもわからないことが出てくることが普通です。通塾の場合には目の前に先生がいて、授業の後にわからない点を会話を通して理解できます。わからない点をどう理解するかという点について、質問できる仕組みを通信教育側でも用意している事業者はありますが、質問ができたとしても文章でのやり取りになります。

そして、質問の回答も即時とはならずタイムラグが発生します。通信教育の場合はすぐにその場でわからないことを解消できないため、日々の学習を積み上げていく部分で影響が出るかもしれません。この解決する方法の1つは、親が教えるという方法です。

しかし、常に子供の勉強内容を理解して回答できる時間があれば別ですが、6年生にもなると、大人でも難しと感じる問題が増えていきます。親が徹底的にフォローするという体制の家庭であれば成り立ちますが、わからないことをどう解決するかのイメージは通信教育をする場合は持っておいた方がよいでしょう。

競争意識が芽生えにくい

自宅での通信教育では競争意識が芽生えにくいといえます。通信教育も通塾の場合と同様に定期的なテストがあります。自分の点数だけでなく、順位や偏差値などのスコアも分かりますので、全体の中の自分の位置を知ることはできると思います。しかし、実際に隣の机に同じ受験生がいるのといないのとでは、意識が異なるでしょう。通塾の場合は周りを見渡せば、同じ教室の中にはたくさんのライバルがいます。机の座席も成績順に座る塾も多く、競争意識を持つことも容易でしょう。しかし、自宅で勉強する通信教育はテスト以外に競争意識を持つことが難しい環境と言えます。競争意識がやる気やモチベーションにつながってきますので、通信教育の難しさの1つと言えます。

志望校選びや出願時の情報が得られにくい

最後は親の目線からの話です。中学受験は本人の学力レベルが大きな割合を占めることは確かです。しかし志望校選びや、どの日にどの学校を受けるかという出願パターンには情報が必要です。通塾スタイルの塾であれば常に最新の情報を各塾とも仕入れており、先生と相談をしながら入念に出力の戦略を練ることもできるでしょう。

しかし通信教育の場合はそうはいきません。中学受験においては、子供だけでなく親も悩むことが多いでしょう。そんな悩みを先生に気軽に相談したいという点では通塾の方が相談がしやすいと言えます。

通信教育のまとめ

通信教育のメリット、デメリットを紹介してきました。通信教育のメリットとしては、圧倒的にリーズナブルな費用、都合の良い時に自分のペースで学習ができるという点が大きな特徴でしょう。一方で通信教育のデメリットとしては、受験生が小学生ということでスケジュール管理や、わからない箇所のフォローなど親が介入する割合が高いこと。そして、「自宅で3年間1人で勉強を続けていくことの難しさ」という点が通信教育のデメリットと言えます。

この記事で紹介した内容を参考に、通信教育が我が家にはマッチしそうと思う家庭であれば、通信教育で中学受験に挑むことも検討してみるとよいと言えます。